ハースライナーについて (2/2)
ハースライナーの使用方法や仕様・材料の相性などについては、実際に使っている方々が個々にノウハウとして保持しているケースが多いため、弊社が公開出来る情報は、製作者側からの情報が主になります。もし公開しても良いノウハウをお持ちの方は、お教え戴ければ非常に有り難く思います。ぜひお教えください。
なお、本記事内ので言及できなかった注意事項を二つを以下に追加いたします。
(1) 使用年数の長いEB-Gunはハース穴がクリーニングなどで磨かれて大きくなっていたり、金属塊がこびり付いて突起が出来ていたり、逆に銅の部分に穴が掘れていたりして変形してしまったりいる場合も有ります。ハースライナーの製作を考慮されるときは、念のためハース穴の形状と状態をご確認ください。
(2) セラミックスのハースライナーはよく割れます。特に金属の蒸着の場合、蒸着を終了して冷却の過程で金属の収縮に引張られて割れることが多いようです。割れることとハースライナーとして使えたかどうかは必ずしも関連するとは限りません。ご使用される側にて、ハースライナーの使用目的を明確にしてご使用ください。破損した事だけで「ハースライナーとして使えなかった」とは見なされると製作者側ではどうしようもない状態になってしまいます。
ハースライナーの材料
ハースライナーの仕様と寸法
ハースライナーの製作は、通常は仕様・寸法はお客様からの指定に依りますが、弊社にお任せ戴いた場合は外径寸法に関しては次のような仕様にいたします。
ハース穴の実物はそれほど高精度な穴加工がされていないようです。以前見た某社の図面では(16〜63oでは)±0.3o程度の公差指定になっていました。通常は、蒸着材料は寸法精度など無関係な形状で供給されますので、ハース穴の精度も要求されないためと思われます。
従って、当社ではハースに確実に入るように、ハースライナの外径を0.5〜1ミリ小さくして製作しています(小径の場合は0.2〜0.5程度)。そのため、側面はハース内側面に線接触する程度か接触しない状態になります。
冷却は、ハースライナー底面をハース底部に極力密着させるて得るようにしております。
高融点金属(タングステン、モリブデン、タンタル)の厚さ1oまでの場合は、板材を絞り加工で成型して製作しますが、この場合でも弊社では底部はなるべく平坦になるように気をつけております。
ハースナイナーの側面や底部の肉厚についても、原則はお客様のご意向に依ります。肉厚は使用目的、材質により様々です。一般に材質を高融点金属にする場合、前述のように加工の関係で1oとする場合が多いのですが、セラミックスや黒鉛の場合は2〜5oが多いようです。これは製作のし易さと最大外径との比率や使用目的を考慮して判断しております。
なお、高融点金属で製作依頼される場合は、形状と価格の関連にご注意ください。前述のように絞り加工で製作できる範囲であれば比較的安価に出来ますが、厚みを厚く取ったり、特殊な形状にする場合は丸棒材等からの削り出し加工で製作しなくてはなりません。削り出し加工では材料のロスや加工代が大幅に増えます。特にタングステンの様に、切削が難しく、材料も高価な金属では、絞り加工で作った場合に比べて5〜10数倍ほど高価になることも有ります。
この Web サイトに関するご質問などについては、直接 [会社のE-Mail] までご連絡ください。